嫌煙家
私はもともと
非喫煙者であり
どちらかといえば
嫌煙家でした。
父も母も
長年のスモーカーでした。
父は喘息をきっかけに
煙草をきっぱりとやめました。
それ以来
母の煙を
ひどく嫌がっていたことを
私は今でも覚えています。
歩きタバコをする人に
無意識のうちに
厳しい視線を
向けてしまうことも
ありました。
それほど私は
喫煙というものに対して
強い嫌悪感を
抱いていたのです。
「歯が黄色くなる」
そんな現実的な印象もまた
抵抗感を
強めていたのでしょう。
それでも不思議なことに
映画やドラマの中で
煙をくゆらせる姿だけは
どこか格好よく見えた。
そのイメージに惹かれて
何度かタバコを
試してみたことがあります。
けれど
どうしても
受け入れることが
できませんでした。
独特の匂い。
喉にぐっとくる刺激。
体がニコチンという異物を
はっきりと拒んでいるような
感覚。
吸いすぎて
クラクラし
1時間ほど
横になっていたことさえ
あります。
「もう二度と吸うものか」と
何度思ったことでしょう。
けれど
ホワイトセージは
違いました。
意外なほど
心地よかったのです。
口の中で
香りを燻らせるのもよし
鼻を通して
その気配を感じるのもよし。
そして何より
肺に吸い込んでも
タバコ特有の
あの拒絶的な抵抗感が
ありませんでした。
その瞬間
ひとつの可能性が
浮かびました。
「これはタバコや電子タバコに
代わりうる存在なのではないか」と
私はそのとき
初めて
拒むことなく迎え入れられる
煙に出会ったのかも
しれません。